父の認知症 6
免許を返納し家に帰宅したが、
すでにさっきあった出来事や言われたことを忘れかけていた。
免許を返したことは覚えていたが、
警察は何をしに来たのか、なぜ免許を取られたのかはもはや記憶にはないようだ。
車に乗るからカギをよこせ➞警察が来て返納したことを説明➞なぜ免許返納になった
➞病気の説明をする➞自分はどこも悪くない➞病院に通っていることを伝える➞
病院に行っている自覚はない➞再び病気と通院していることを説明➞
仕事が出来ないと騒ぐ➞数年前からほとんど仕事がない状況を説明➞
仕事がないから営業しなければいけない➞”会話の頭に戻る”の繰り返し。
終いには「無免許だろうが自分の判断で乗るからお前たちには関係ないだろ!」という始末。
無免許と分かってて乗せれば家族も処分されることを説明しその場を濁す。
仕事もなく毎日軽トラで走り回り、知り合いのところによって世間話をしてるだけだが
本人にその自覚はなく、認知症が始まったころのままの記憶のようだ。
あの人は仕事が減ってきて会社を辞めた、あの人は歳だから会社を辞めたなどと言うが、
自分が言われると屁理屈を言って人の話は聞かない。
昔からの性格がボケてさらに強くなった感がある。
免許返納の翌日の朝から同じやり取りの繰り返し。
しかもすでに警察が来たことを覚えていない。
「警察来たの覚えてない?」
「覚えてる」
「男性だった?女性だった?」
「男の人」
「女性の警察官だよ」
「・・・・・」
録画してDVDに焼いておいた昨日のやり取りを見せる。
テレビに会社の事務所と自分が映っていても説明しないとドラマだと思っていたようだ。
DVDを見終わると、なぜ返納しなければいけないなどの一連のやり取りがありまた一から説明するが、
数分の説明の間にDVDを見たことを忘れている。
ハッキリ言ってこっちの気が狂いそうだが、
彼は忘れるんじゃなく毎回が一回目、父の格好をした違う人という風に考えるようにして
出来るだけ感情を抑え事務的になろうと思っている。
感情的に喋っても認知症の人からすれば、
「なんで初めてする話を怒りながらするんだ?」
としか思わないだろう。
一生懸命になってはいけない。
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