父の認知症 5
父には警察が来ることを伝えていたが案の定忘れていたようで、
警察からの電話で会社に戻ってきた。
このような案件を担当してるであろう女性警察官が一人で来ていた。
事務所のテーブルに警察官と父が向かい合って座り、
私と母は少し離れた場所から見ていた。
後から考えると、母や私が同じ席に着かず父と警察が面と向かって話したのが、
一瞬ではあれ自分の問題だと考えさせれたと思う。
警察官が父に医者から出ている診断書のこと、
それに伴って免許が一年間の停止となることを説明していた。
一年間の停止と聞いて、私は???と思ったが、
何度説明しても覚えていない、理解できない人に警察が来て免許を取り上げると、
現に私の父も警察からの電話で事前に説明を受け当日の免許返納となったが、
父 「急に来てそんなこと言われても」
警 「事前に電話して説明しましたよね?」
父 「・・・・」
警 「電話で話している感じでは理解されていないようでしたけど。」
治ることのない病気だが、それを認知症の人に説明してもしょうがない。
その場だけでも納得してもらい、大人しく免許を出してもらうためだろう。
実はこの警察と父のやり取りをスマホで一部始終録画していた。
病院での医者とのやり取りも録画したかったのだが、タイミングが合わず行けずじまい。
何度説明しても忘れ、納得してもその時だけ。
実際に自分が写ってる動画を見せた方がいいのかもと思っていた。
録画したものはPCに取り込みDVDに焼いておいて、
いつでも居間のプレーヤーで見れるように。
警察官に対して、「免許取られたら仕事できないじゃないか」とか
「年よりには全員にこんなことしてるのか」と言いその都度説明を受けていたが、
いちいちにまともの相手していてもしょうがないのであろう。
一通り父に説明し、カギを渡さない、絶対運転させないことを私達に念押しして、
書類にサインをもらって帰って行った。
このような人を何人も相手にしているであろう警察官は、
淡々と説明し父が質問すればきちんと答え、多少事務的ではあるが好感の持てる対応だった。
感情的になるのが認知症相手には一番困る。
これで免許はなくなり運転が出来なくなると同時に仕事も出来なくなったため、
倉庫に車を入れ施錠し、家に戻ることにした。
父の認知症 6 へ続きます。
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